"ディスコってもともとフィリーソウルの流れからでてきて、除々にダンスフロアのニーズに応えるカタチでキックが強くなっていった、そんな音楽ですよね。キックが強調された時点で、反復という面でのミニマル化はすでにはじまっているとは思うんですが、音楽としてよりミニマル化が進行するのって、たぶん曲の後半の「ブレイク」に人々が異常な関心をよせはじめてからじゃないかと個人的には推測しているんです。
「ブレイク」を入れるということは、そもそもドラムだけのミニマルな展開を曲に入れ込むという行為ですよね。でも、まぁ、それだけだったらファンクのシングルにも一部聴くことができる。ディスコの「ブレイク」って…これは12インチシングルの台頭とも関わるんですが…音盤のつなぎやすさから生まれていて、何枚かの音盤をノンストップでつなぐというすごくミニマルな発想に、この頃からダンスミュージックが浸食されはじめるんですよ。作曲者、あるいは第三者がDJ的な視点から原曲の一音一音を細かく切り刻んで、踊りやすいようにグルーヴを再構築する。そうしたエディットの誕生と、ダンスミュージックのミニマル化は表裏一体な気がしています。バージョンという名のミニマル化もこの辺りからはじまる。そうした流れを牽引していたひとりが、アーサー・ラッセルですよね。彼は元々、西海岸のサイケシーン出身でミニマルな音楽表現にずっぽりはまっていたひとで、東海岸に移住してから70年台半ばにまだ他の人が気づいていなかったディスコのミニマル性にはまって、エディットをコツコツと作り始める。それが、ラリー・レヴァンなどのDJに使われてフロアを狂気に包む、というような。"

— ムードマン (STUDIO VOICE2009年05月号) (via tbcl) (via sakurasakuras) (via nemoi)